芦田祐佳特任講師が日本教育心理学会で城戸奨励賞

2023.01.23

芦田祐佳特任講師が日本教育心理学会で城戸奨励賞

 総合教育系の芦田祐佳特任講師(初等教育部門)が、「日本教育心理学会 2021年度 城戸奨励賞」を受賞しました。同学会は、教育心理学に関する研究成果の発表を促進し、その発展に寄与することを目的として、1959年に創立された歴史ある学術団体です。城戸奨励賞は、同学会の機関誌「教育心理学研究」に発表された論文のうち、35歳未満の若手研究者が執筆した論文で特に優秀であると評価された論文に対して授与されます。
 受賞対象となった研究は「仲間のネガティブな情動を帯びた言動に対する低学年児童の対応―児童の情動コンピテンスと学習活動の種類による差異に着目して―(*)」で、小学2年生の学級における継続的な観察を通して、小学校低学年の子どもたちが仲間の情動に対してどのように応じているのかを明らかにしたものです。
 受賞を受け、芦田特任講師は、「この度は、栄誉ある賞をいただき、大変光栄に存じております。まずは、本研究にご協力くださった先生方と子どもたちに心より御礼申し上げます。子どもたちが日常の様々な出来事に対して、喜び、怒り、悲しみ、楽しむ、その生き生きとした姿にわたしも心を揺さぶられながら研究に取り組みました。この受賞を励みに、これからも子どもたちが自分らしく感情を表現できる学級づくりとはなにかについて考え続けていきたいと思います」と語りました。

*論文の概要
 非認知能力や社会情動的スキルなど、近年では子どもの情動や感情に関わる能力を育てることが重視されています。しかし、子どもたちが日常の学校生活のなかで友達とどのように情動を共有し、情動的な能力を育んでいるのかについては十分に明らかにされていません。そこで本研究では、小学校低学年の子どもたちが友達のネガティブな情動に対してどのように対応しているのかを教室場面の観察により検討しました。
 研究の結果、子どもたちの対応は、友達がネガティブな情動を教科の学習中に示すのか、それとも学級会などの教科外活動のなかで示すのかによって異なることが明らかになりました。特に、教科の学習中には、友達のネガティブな情動を受け、子どもたちが発言を控えていることや、互いの発言に対して否定的に応じていることがわかりました。また、こうした教科と教科外の活動による対応の差が顕著なのは、情動的な能力を教員から高く評価されている子どもたちであることも明らかになりました。以上の結果から、本研究では、子ども同士の情動的な関わりに対して学習活動の枠組みが与える影響は大きいことと、学校教育のなかで暗黙理に期待される情動的な能力があるのではないかということを示唆しました。

表彰状を手にする芦田特任講師

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(総合教育系)