平成13年6月8日,大阪教育大学附属池田小学校に刃物を持った男が侵入し,8人の児童の命が奪われ,13人の児童と2人の教員が負傷しました。事件から18年を迎えた6月8日(土),同小で追悼式典「祈りと誓いの集い」があり,児童,保護者,教職員ら約1400人が出席しました。午前10時12分,犠牲になった8人の名が刻まれた「祈りと誓いの塔」の鐘が児童代表の手で鳴らされ,出席者全員が黙とうを捧げて冥福を祈りました。 本事業は,事件を風化させず,その教訓と学校安全の思いをつなぎ,広く社会に向けて発信していくため,当時を振り返り,子どもたちにとって安心で安全な学校づくりを誓うものです。 同小で唯一,事件当時から勤務する佐々木靖校長は,「悲しい事件を経験した本校には,あの事件の重大性を語り伝え,事件の風化を防止する責務があります。平成という時代は終わりましたが,いのちを大切にする取り組みにとって,何かの区切りになるわけではありません。本校の責務は,まだまだ終わりません」と決意を述べました。続いて6年生代表の児童3人が,困っている人に手を差し伸べ,寄り添える心優しい人間になり,みんなが命を大切にする社会になるよう発信し,この辛く悲しい事件の教訓を忘れることなく行動し,伝え続けていくと誓いました。 式典後は塔の前に献花台が設けられ,多くの児童や保護者らが花を供え,塔に向かって手を合わせました。献花した児童たちは「校長先生や先生方のいつも見守ってくれている姿を見て,私も大人になったら同じように子どもたちを優しく見守れるたくましい人になりたいです」「6年生になって初めて,祈りと誓いの塔の前で集いに参加しました。すごく緊張もしたけれど,亡くなった8人の子どもたちの事を考えて黙祷し,歌を歌うことができました」などと話しました。また,保護者は「これからも学校の安全について考え,子どもたちの安全につながる活動に積極的に参加していきたい」と話しました。 式典に先立ち,同小の全学年で「安全科」の授業が行われました。6年生の授業では,事件の翌年の「祈りと誓いの集い」の様子を写真や映像を見て,参加した児童と参加できなかった児童のそれぞれの気持ちについて想いをめぐらせました。また,これまでの式典の記録から遺族が思いを語った音声を聞き,この集いの目的や,今日自分たちはどういう気持ちで参加するのかについてそれぞれが考え,発表しました。 大学では前日の6月7日(金),「事件を語り伝える事業」が行われました。柏原キャンパスの3限目,および天王寺キャンパスの3限目・7限目の授業で,合わせて約2100人の学生に事件の概要と教訓が伝えられました。
誓いの言葉を述べる児童代表
佐々木靖校長
授業で学生たちに事件の概要が語られた
黙とうする学生たち
(広報室)