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2017.11.21

教科書史に関する研修会を実施

 教科書史に関する研修会「教科書の歴史と大阪教育大学附属図書館所蔵『旧教科書』資料概説」を,11月1日(水)に柏原キャンパスで実施し,教職員や学生26人が参加しました。
 本学は江戸時代の教科書「往来物」から現在の検定教科書に至る膨大な教科書を所蔵しています。特に大阪府下で出版され,師範学校などで使用されていたもの,教師用の教科書など,江戸期から昭和初期にかけての資料約5000点は,大阪の地域性があらわれている貴重な資料群となっています。そこで,教科書の歴史を学ぶことで,教員養成大学の教職員として必要な知識を得るきっかけになればと附属図書館が研修会を企画。また本学では学校図書館司書教諭および図書館司書資格取得のための講義を開講していることから,学生にも参加を呼びかけました。
 同研修会は,講師として花園大学文学部から菅修一准教授を迎え,講演と資料解説の二部構成で行われました。第一部は「昔の教科書との出会い」と題して,学術資料としての教科書の歴史に関する概説と,本学附属図書館が所蔵する「旧教科書」の特徴について講演が行われました。第二部では講演会場に展示された資料現物に基づき,それぞれの歴史的な位置づけや見るべきポイントについて解説。江戸時代の寺子屋で使われたという初等教科書である「往来物」から,明治初期の翻訳教科書,戦後の検定教科書に至る制度整備の歴史について説明しました。装丁・印刷製本等の書誌学的な教科書の見方にも言及しました。
 参加者からは「所蔵されている旧教科書それぞれの持つ来歴や,歴史的意義をわかりやすく学ぶことができた」「出版技術や交通が発達した現在とは異なる,当時の出版流通事情について思いをはせる機会になった」などの感想寄せられました。

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(学術情報課)