教員をめざす人への メッセージ
栗林 最後になりましたが日本あるいは世界の子どもたちのために教員をめざす高校生・大学生に向けてメッセージをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
中野 月並みな意見ですが、高校生や大学生の間に、今まで経験していない〝社会〞を少しでも多く、経験してほしいと思います。企業の現場を知ったり、海外の文化を知ったりすることも有意義でしょう。カリキュラムや制度を整えるなどして、こうした経験を後押しできる教育の場になると素晴らしいと思います。あと一つ、世の中は驚くほどの速さで変わっていくということも、経験の中で実感してほしいです。今の世の中の仕組みがずっと続くわけではないと実感することは、自分の将来について考える際に役立つはずです。
今日、こうした機会をいただいて、最後に学長に伺ってみたいことがあります。教員採用の人数は時代によって大きな波があります。大学卒業時に採用枠が少なかった世代には、優秀だったのに希望する教員になれなかったという人がたくさんいます。教員採用の枠が広くなった時に、こういう人がそれまでの社会経験を生かして、教育現場に入る仕組みを作ることはできないものでしょうか。現実には難しい点も多くあるでしょうが、こうした人が増えれば、社会と教育現場との連携も進めやすくなると思います。
栗林 私は教員免許の国家資格化を文部科学省でも強く主張しており、教育大学協会でのワーキングでも検討されていて近々報告書が提出されることになっています。今後人口減が進む日本において必要になるより丁寧な教育、つまり教育の高度化は国の基本方針なのですから、教員免許の国家資格化は必要なことと考えるわけです。
一方で本学は特別免許状取得の推進をめざした働きかけも行っています。教員免許を持たない人でも一定の教科や必要性に応じて柔軟に特別免許を出せるような仕組みです。中野さんがおっしゃる通り、今必要とされる学校と社会をつなげる学びの部分を担い、学校現場で不足する部分を補うなど今の学校での課題のいくつかを解決に結びつけることができる重要なポイントだと思っています。
中野 企業での勤務を経験してから教員になったり、教員が途中で何年間か企業で働いたりといった形が広がると、企業と教育現場の双方にメリットが生まれるのではないでしょうか。
栗林 私もそうだと思っています。多様な要素に満ちている組織というのは強いですから。最後にいいご意見をいただいたと思っています。今後も一層これらの取り組みを進めていけたらと思っています。本日はどうもありがとうございました。