卒業生CATCH! 吉川 喜久さん

   
  

スウェーデンでの学びを日本の教室へ

学校教育教員養成課程 技術教育専攻 2020年3月卒業
大学院連合教職実践研究科 高度教職開発専攻 教育実践力コース 2023年3月卒業
大阪教育大学附属平野中学校 教諭
吉川 喜久さん

生徒の笑顔のために

 吉川喜久さんは、大阪教育大学附属平野中学校で技術科を担当しています。仕事のやりがいを聞くと、「やっぱり授業が一番面白いですね。生徒たちの作品づくりのサポートは、仕事であると同時に自分の好きなことの延長線上という感覚が強いです。ものづくりを通して教育に携われることが、自分にすごく合っています」と笑顔で語ります。授業以外の業務についても、「先日の修学旅行では、生徒たちが実行委員やしおり係など、それぞれ役割をもち主体的に取り組んでいました。行事を通して、生徒一人ひとりが協働し、課題を乗り越えようとする姿から、私も教師としてどんなサポートができるかを考えながら関わっていました」と話し、熱意を持って仕事に向き合っている様子が伝わります。

やりたいことをすべてやった学生時代

 大教大を選んだ理由は、「同じ志を持つ学生が日本全国から集まり、将来教師になったときにも生かせる交友関係が築けることと、さまざまな教員免許を取得できる環境があり、努力次第で幅広く学べることに魅力を感じたからです」と言う吉川さん。入学してからは「大学生活でやれることは全部やりきる」をモットーに、幼稚園から高校まで全校園種の教員免許を取得したり、メンバーが激減していた大学祭準備会に所属し、2年連続で委員長を務め、立て直しに励んだりと、まさに全力で駆け抜けます。

四足のわらじへ、留学を決意

 中でも、自身を大きく成長させたのが留学でした。「4回生になる頃、日本の学校教育について少しずつ理解が深まってきた一方で、世界の教育を見ることで日本の技術教育をより客観視できるのではないかと思い始めました。教員採用試験、卒業研究、小学校での実習が控えていて、決して容易ではない挑戦でしたが、先生や先輩に背中を押してもらって、トビタテ留学JAPANへの応募と留学を決意しました」。プログラミング教育に関して日本と方針が似ていることから北欧に焦点を定め、必死に英語を勉強し、コロナ禍の延期を経てスウェーデンの大学に留学しました。

教育に対する視点の転換

 留学を通じて、教育を他分野の視点から捉える力が身についたと言います。「実際に留学してみると、海外の教育を知るにはその国の歴史や社会制度の背景を踏まえることが大切だと強く感じました。現地での学びを通じて、自分の中に新しい価値観が芽生えたと感じています」。そうした経験から、留学するか迷っている学生には、「少しでも興味があったら、ぜひ一歩踏み出してほしいです。現地に行くからこそ、気づけることや学べることがあると思います。語学力に不安があっても、『現地の方々と話してさまざまなことを知りたい』という好奇心をモチベーションに変えて、ぜひ挑戦してほしいです」と熱いエールを送ります。

スウェーデンの実践を日本へ

 今後の目標について聞くと、まずは教員としての力を着実に身につけたいと語ります。「学校現場に出てみると課題や学ぶべきことが尽きないと感じます。中学教員としてはまだ3年目なので、授業力や生徒指導力を高めていけるように学び続けていきたいです」。そのうえで、留学経験を生かした実践にも取り組みたいと考えています。「スウェーデンでは現在、AIを新たな教科として導入するという世界でも先進的な取り組みが行われています。留学中にお世話になった先生方にインタビューさせていただきながら、附属平野中学校で研究を進めたいと考えています。将来的には、実践力とアカデミックな探究心を兼ね備えた教師をめざしたいです」。吉川さんの挑戦はまだまだ続きます。


(2025年5月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。


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