平成13年6月8日,大阪教育大学附属池田小学校に刃物を持った男が侵入し,8人の児童の命が奪われ,13人の児童と2人の教員が負傷しました。事件から20年を迎えた6月8日(火),附属池田小学校で執り行われた「祈りと誓いの集い(*)」と同日,大学では「事件を語り伝える事業」を行いました。緊急事態宣言下のため,本学の授業における活動基準はオンライン授業を中心としたものでありますが,柏原キャンパスの3限目,および天王寺キャンパスの3限目・7限目の授業で,合わせて約2300人の学生に事件の概要と教訓が伝えられました。 本事業は,本学がこれからも事件を過去のものとせず,事件の教訓を広く社会に伝え,深刻化する我が国の学校安全の課題に先導的な役割を果たし続けていくために,本学の教職員が事件への認識を新たにし,教師をめざす学生とともに,学校における幼児児童生徒の安全確保への認識を深める取組です。 今年度も,平成18年度から取り組んできた本事業を継続し,教職員と学生が一体となって,全学規模で附属池田小学校事件を振り返り,学校安全への決意を新たにしました。 感染対策を充分に講じたうえで行った対面授業の一つである,学校教育部門の瀬戸口昌也教授の授業「教育思想」の冒頭では,なぜ児童を守れなかったのかを検証した映像を見せ,これからの学校の安全をどのように守っていくかを考えるよう学生らに促しました。事業の括りとして,瀬戸口教授は,「当時事件に関わった方の気持ちを理解したうえで,この事件を知らない人に語り伝えて風化させないでほしい。子どもたちの命を預かる教職を志望する者として,危機的な状況に冷静に対応できるように,防犯訓練はもちろん,健康管理も含めた安全管理の意識を高めてほしい」と強く訴えかけました。 瀬戸口教授の話を聴いた小学校教員をめざす学生は「本当に悲しい事件です。この大学で勉強しているからこそ,この事件を正しく知ることができました。二度とこのような事件が起きないように,事件のことを知らない教員が増えていく今,尚更のこと,教員をめざす僕たちがこの事件を語り継いでいきたい」と決意を述べました。(*)「祈りと誓いの集い」は,附属池田小学校事件を風化させず,その教訓と学校安全の思いをつなぎ,広く社会に向けて発信していくため,当時を振り返り,子どもたちにとって安心で安全な学校づくりを誓う,附属池田小学校で執り行われる追悼式典
学生に語りかける瀬戸口昌也教授
黙とうする学生たち
2021年6月11日掲載(広報室)