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2014.04.15

本学学生が応用物理学でポスター賞を受賞

 本学教養学科自然研究専攻4回生の今谷律子さん(3月卒業)が,青山学院大学相模原キャンパスで3月17日(月)から20日(木)までの期間に開催された,第61回応用物理学会春季学術講演会でポスター賞を受賞しました。これは,学術講演会で行われたポスター講演総数の概ね2%を目処に,応用物理学の発展に貢献しうる優秀な講演の著者を表彰するものです。
 今谷さんの研究タイトルは「Mg蒸着性を用いた有機膜表面ガラス転移点評価」です。一般に液体は,固体に変化すると規則正しい分子配列の結晶構造になります。しかし物質の中には,急速に冷却するなどの特殊な処理をすると,物質の分子配列が不規則なまま固体となります。これをガラスといい,液体からガラスに変化する温度をガラス転移点といいます。従来このガラス転移点は,内層部と表面部の違いが知られていましたが,表面部の評価をすることが困難でした。

 今回,今谷さんは“Mg真空蒸着法”を用いて,表面ガラス転移点の新しい評価方法を提案しました。この方法は,真空状態で蒸発させたMg蒸気を有機材に付着させると,表面ガラス転移点の違いにより付着状態が変化し,転じて表面ガラス転移点が評価できるというものです。さらに,内層部分は同じガラス転移点を有する物質であっても,分子構造の違いにより,表面ガラス転移点は異なることを示しました。この新しい技術は,現在活発に研究開発が進んでいる有機エレクトロニクス分野への応用が期待されます。
 受賞にあたって今谷さんは「部活動をメインに学生生活を送っていたので,研究面では遅れをとっていましたが,先生をはじめ周りの方々の助けがあり,このような賞をいただくことができました。これは研究室みんなで取った賞だと思います」と周囲への感謝の言葉を述べました。
 指導教員の辻岡強教授は「研究は当人が面白く感じることが一番大事。彼女もやりがいを持って熱心に取り組んでいました。今回の受賞は,その成果が形となったものでしょう」と感慨深げに語りました。

(総務企画課)