清風中学校・高等学校長の平岡宏一氏による講演会「わたしがチベット密教から学んだこと」(教養学科芸術講座主催)を12月18日(水),柏原キャンパスで開催しました。日本文化の継承と発信という見地から教養教育の活性化を図ることを目的に開かれたもので,学生,教職員,一般市民など約70人が参加しました。 講演会は,本学修了生(芸術文化専攻)の福岡この実氏の総合司会により,高橋誠教養学科長の挨拶から始まりました。平岡氏は,南インドのギュメ密教学問寺に留学し,外国人として初めてCertificate(伝授証明書)を受けています。講演では,チベット密教がインドのナーランダ僧院の伝統を継承する仏教の正統であると述べ,キリスト教のように創造主を想定しない仏教的世界観では,すべては心の反映,業(ごう)の結果であると説きました。「心とどう向き合うかが大切」であるとし,三毒(貪(とん)・瞋(しん)・痴(ち)の煩悩)をいかに克服するかについて,参加者に直接問いかけながら話しました。 さらに,隠された奥義をラマ(師匠)の口訣(口伝)により理解するという学習方法について,教典の写真や伝授・護摩・加行の動画で説明しました。ダライ・ラマの愛弟子として自他共に許す平岡氏の人格と境地に触れ,会場の中には涙を流す人もいました。 休憩時間には,本学修了生(芸術文化専攻)の薗田ひでみ氏によるチベタンソングのヴァイオリン演奏があり,続いて瀧一郎教授(芸術講座)の司会で活発な質疑応答が繰り広げられました。参加者からは,仏教思想やチベット密教の教義などについてさまざまな角度から質問が投げかけられ,平岡氏は身近な例を示したり黒板にチベット語を書きながら丁寧に説明していました。参加者の1人は「内容は専門的でしたが,相手を思いやる心の大切さをあらためて認識しました」と話していました。
(学術連携課)