東日本大震災シンポジウム(主催:学校危機メンタルサポートセンター,教職教育研究センター)を12月2日(日),国際教育センター(大阪府池田市)で開催しました。テーマは「被災地における学校の現状と課題~震災時と現在~」で,全国から約90人が参加しました。 今回のシンポジウムは,東日本大震災から1年半が経過した今,被災地で子どもたちがどのように学校生活を過ごし,教師はどのように学級運営をしているのか,現地の支援者と教員から話を聞き,今後,教職員が考えていかなければならないことについての示唆を得る機会として開催しました。 藤田大輔センター長の開会挨拶のあと,東日本大震災後に子どもの心のケアチームを編成して巡回診療を行っていた宮城県子ども総合センター所長の本間博彰氏が,「大災害における子どものメンタルへルス対策~1年半の振り返りとこれからの課題」と題して基調講演をしました。本間氏は,被災地では多くの遺児孤児がおり,心の問題を抱えている子どもたちの多くが見過ごされている可能性が高いことを指摘しました。また今後,PTSDだけでなく心理的発達の障害を来し様々な問題が起こってくることを示し,子どものレジリエンス(精神的回復力)に注目した支援の必要性を訴えました。次に,南三陸町立戸倉小学校教諭の齊藤早苗氏が「困難な状況からの新たな再出発」として,小学校が津波で流された後,他の学校を借りて足りない教材を創意工夫しながら学級運営していったことを語りました。続いて,福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任准教授の本多環氏が「福島の子どもたちに寄り添って」と題して講演しました。本多氏は,まだまだ故郷に戻れない子どもたちが多く,またほとんどの親や子どもが放射能による見えざる不安を感じており,いまだに外で遊ぶ子が少ないため,運動能力が低下していると述べました。 最後に,講演した3人と藤田センター長をパネリストに,学校危機メンタルサポートセンターの岩切昌宏准教授をコーディネーターとして,「震災を通じて考えなければならないこと」というテーマでパネルディスカッションをしました。参加者からも様々な質問が出され,現場の支援者の立場から的確なアドバイスがありました。 今後も学校危機メンタルサポートセンターでは様々な活動を通じて,学校安全推進の取り組みに関する情報を全国に発信していきます。
平成25年 学校危機メンタルサポートセンター行事予定(平成25年1月現在)・1月10日・24日 第61回定期セミナー「問題解決療法の基本と実践《2回連続講座》」 ・2月3日 第2回プロジェクトフォーラム「生徒の自傷や自殺に対する学校の役割と課題」 ・2月21日 第62回定期セミナー「状況に適した生徒指導を目指して」 ・3月2日 第3回アジア・太平洋学校安全推進フォーラム「学校安全の推進を目指した教育実践の国際展望」 ・7月29日・30日 第10回教職員研修(初級)・7月31日~8月2日 第10回学校安全主任講習会・8月22日 第10回教職員研修(中級A)・8月23日 第10回教職員研修(中級B)※詳細については,学校危機メンタルサポートセンターのウェブサイト(http://nmsc.osaka-kyoiku.ac.jp/)に随時掲載していきますので,ご確認ください。
(学校危機メンタルサポートセンター)