アメリカ インディアナ大学ココモ校の小川正人准教授を迎え,「国際化された社会における教員養成と教科教育・研究」をテーマにした平成24年度第3回教員養成課程FD講演会を10月17日(水),柏原キャンパスで開催しました。この日は,本学教員養成課程教員のほか,学部生,大学院生など50人以上が熱心に耳を傾け,活発な議論が繰り広げられました。 小川准教授は現在,日本人研究者として教員養成に関わり,社会科教育,多文化教育,国際教育,経済教育,サービスラーニングなどを研究しています。 小川准教授は,インディアナ大学の教育システム紹介のほか,フィールド活動(授業観察,教師の補助,実際の授業,評価)を重視しているココモ校の教員養成カリキュラムなどについて説明したうえで,本論に入りました。「教員養成の国際化」について,ココモ校ではケニア,アイルランドなど17カ国での教育実習を導入するとともに,人種,社会,経済的に多様であるイリノイ州シカゴ教育学区での教育実習,ナバホ・インディアン居住区に滞在しての教育実習を実施していることを報告し,「教育実習の評価ではスーパーバイザーの役割が大きい」などと強調しました。 また,理論研究より実証研究が圧倒的に主流であるなどアメリカにおける社会科教育研究の動向について解説したうえで,教科教育・研究への国際化について提言を行いました。その中で,「日本の研究者にとっては英語によるプレゼンテーション力,コミュニケーション力を身につけることはもちろん大切だが,日本で長年取り組まれ,蓄積されてきた授業研究の実績,方法論や成果を国際的に発信することも重要ではないか」などと投げかけました。 参加者からは「アメリカにおける多様な教育の特徴は」「テクノロジーを使った教育指導を高める教員養成のポイントは」「教育実習の評価において大学側と実習先との間に評価のズレがあった場合,どのように対処するのか」など,大学院生,学部生を含む8人から質疑が出され,活発な議論が繰り広げられました。 最後に,FD事業推進委員会委員の高橋登教授(教員養成課程副主事)が「中央教育審議会が今夏,教員養成における大学院の役割を見直す提言を行いました。本学では国際化の視点からも教員養成の在り方を議論しています。本日は若手学生も多く参加しており,大変意義のある講演会となりました」と締めくくりました。
(学術連携課,総務企画課)