前福島大学長で国士舘大学教授の臼井嘉一氏を迎え,「戦後日本における教員養成改革の意義と今日の教員養成の高度化の位置を探る」をテーマにした教員養成課程第2回FD講演会を7月23日(月),柏原キャンパスで開催しました。この日は,本学教員養成課程以外からの参加者も含め,50名の教職員が熱心に耳を傾けました。 臼井氏は,1958年の中教審答申の問題点と今日の教員養成をめぐる問題状況について触れたあと,本論に入りました。 まず,戦後確立された「大学における教員養成」論の初心として教育刷新委員会(1946年)の委員であった務台理作氏の主張を引用し,その視点からテーマに迫りました。具体的には,(1)1958年中教審答申と「目的的計画養成」政策 (2)「教員養成系」学部における名称変更批判と「目的養成」の主体的受け止め (3)教員養成カリキュラムの中に「目的養成」を位置づける視点 (4)社会の期待に応じる教育改革の推進―について取り上げ,「教職実践演習」を主体的に受け止め,「学びの軌跡」に視点を据えた「教職指導論」に再構成するなど,務台理論を参考に国立大学「教員養成学部」における「目的養成」の実践とその理論について持論を展開しました。 講演のなかで臼井氏は,本学の小学校教員養成5年課程(第二部〈夜間〉)を高く評価。「第一部との連携をさらに進めてほしい」と求めました。さらに,本学が設置していない教職大学院について「貴学が採用している大学院教育学研究科の目的と教職大学院のそれとは基本的に同じ」としたうえで,「現職教員を入れる、現場とのつながりをつくるなどの取り組みを教育学研究科でもさらに進めてほしい。附属校園や地域の協力校に加えて,様々な学校現場に出向いて大学教員が授業を行うなどの実践を取り組んでほしい。歴史と伝統のある大阪教育大学の改革の試みに期待しています」とエールを送りました。 参加者からは,教職大学院のあり方を取り上げた質疑が行われるなど,活発な議論を繰り広げました。最後に,教員養成課程長の石田雅人教授が「本学の教員養成課程の先生方に力強いメッセージをいただき、改革へのカンフル剤ともなりました。大変有意義な講演会となりました」との挨拶で締めくくりました。
(学術連携課,総務企画課)