「これからの小学校外国語活動~教える「英語力」向上プログラムの構築を通じて~」と題したシンポジウムを2月4日(土),本学天王寺キャンパス西館で開催しました。 これは,平成21年度の文部科学省『大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム』に採択された『教える「英語力」向上プログラムの構築』の集大成として実施したものです。2年数ヶ月におよぶ事業成果を発表するとともに,文部科学省をはじめ日本各地の大学で教員養成に携わっている研究者を講師に迎え,日本各地から小中学校の現職教員や学生約100名が参加しました。
初めに長尾学長が「今年度から必修となった小学校外国語活動では課題も多い。本学の当該プログラムやシンポジウム等を通じて,小学校の外国語活動に係わる教育がますます発展することを願います」と挨拶しました。 続いて,本学の吉田晴世教授(英語教育講座)が「当該プログラム事業内容と達成度について」と題した報告をしました。吉田教授は「コミュニケーション力と基礎力のバランスが大事だが,『教える「英語力」向上プログラム』の根底には,大学生の英語運用力の低下をなんとかしたいという思いがある。決して,2年半のプログラムで終わりではなく,得たもの,課題となったものを考え,英語の大阪教育大学と言われるように学生と一緒に教員も頑張っていきたい」と話しました。 このあと,文部科学省 初等中等教育局国際教育課 外国語教育推進室長 渡邉倫子氏による「わが国の英語教育について」と題した基調講演が行われました。渡邉氏は,小学校外国語活動の課題として,教員の指導力,ALTの確保・指導力の向上・連携,小中連携,校内体制・研修の重要性をあげ,「たとえ流暢な英語に至らなくても教員(指導者)自らが英語を恐れず使ってみようとする態度や,どうやったら楽しい世界が広がるかを子どもたちに見せることが大切だ」と話しました。また,わが国の英語教育の現状や取組などを諸外国における外国語教育の状況と比較したり,英語ノートにかわる新しい外国語活動教材の「Hi,friends!」を紹介し,多くの参加者が有益な話にメモをとっていました。 次に,「SNS活用による提携校UNCWとの国際交流による教育効果」「Web利用TOEIC対策学習が及ぼす自律学習への効果」の2つのテーマで本学学生が発表を行いました。UNCW学生とのSkype・Facebookの交流の様子を動画で流したり,ATRCALLを利用したICT学習の利点・弱点をわかりやすく説明しました。 続くパネルディスカッションでは,「小学校外国活動の今後の展望-教員養成の新たな使命-」と題し,本田勝久准教授(千葉大学),建内高昭准教授(愛知教育大学),佐藤臨太郎准教授(奈良教育大学)が提案者となり,それぞれの立場から話しました。また質疑応答では,参加者との意見交換を含め,専門性に基づいて活発な議論が交わされました。 最後に,英語力向上事業実施委員会委員長である木立理事が「教える英語力の完成形をめざし,引き続き当該事業の成果を今後の小学校教員養成で特に活かしていきたい。当該事業へ貴重なご意見やご助言をいただき感謝しています」と締めくくりました。
(企画課)