動物実験等の実施に関する教育訓練を9月29日(木),柏原キャンパスで開催しました。 この教育訓練は,研究遂行上,学内で動物を使用して実験をする学生・教員を対象とし「動物の愛護及び管理に関する法律」及び「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」等に基づいて行うものです。その際,「動物の生理,生態,習性等に配慮し,動物に対する感謝の念及び責任をもって適正な飼養及び保管並びに科学上の利用に努めること」(平成18年4月28日 環境省告示第88号 『実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準』より)を踏まえて行います。 本学の動物実験委員会委員長である石田雅人教授(教員養成課程長,学校教育講座)の司会で教育訓練が進められ,動物実験責任者の出野卓也准教授(第二部実践学校教育講座)が「実験動物の飼育及び保管並びに苦痛の軽減について-動物実験等の実施に関する基本方針」と題して,制度のポイントや実験遂行上の留意点について説明しました。続いて倉本香准教授(社会科教育講座)が「動物に対する倫理」について報告し,明治以降に生まれた動物愛護に関する意識の変化から,1970代に生まれた「動物の解放」(ピーター・シンガー)という思想について,その背景となる理論について説明するとともに,現在,飼育動物に対してもスタンダードとなっている「動物の福祉」という観点について解説しました。 二人の教員の報告について学生・教員は,真剣な面持ちで話に聞き入りました。質疑応答では,動物に対するパーソナル・ヒストリーという捉え方や,人に対する諸々の差別と動物への種差別を類比して捉えるべきだとする主張,イルカやクジラなど海洋生物保護のために行動するシー・シェパードの運動との関わりなどが話題になりました。参加者からは「専門家から動物の扱いに関する講義を受ける機会はあまりなかったが,今回の講義を受け視野を広げることができました。有意義な教育訓練だった」と感想が寄せられました。
(動物実験委員会・学術連携課・企画課広報室)