本学は8月31日(水),柏原キャンパスで大学における知的財産活動のあり方を議論することを目的とし「特許庁幹部の講演を取り入れたセミナー」を開催しました。これは,西日本教員養成大学知的財産管理運用ネットワーク事業の一環として行われたもので,本学のほか京都教育大学,奈良教育大学,滋賀大学及び和歌山大学からの役員・理事をはじめ教職員31人が参加しました。 木立英行理事(本学教育研究担当)の開会あいさつのあと,特許庁特許審査第一部長の小林昭寛氏による「大学の知的財産活動への期待」と題した講演が行われました。「知的財産権制度の概要」から始まり「大学における知的財産管理の必要性と活動の現状」「特許の取得・利用の留意点」「知的財産教育と教員養成」など,具体例を示しながら知的財産活動のあり方を解説されました。その中で,特許出願と学会(論文)の関係では「研究者は出願の前に論文等で公表をするケースが多いが,日本を含め,ほとんどの国において論文等での公表が先になってしまうと特許を受けることができません。手順を間違えないように」等,特許申請に関わる具体的な注意事項など多岐にわたりアドバイスされました。続いて,特許庁総務部企画調査課大学特許管理専門官の佐藤光昭氏から「地方大学や中小規模大学の特色ある知財活動例に学ぶ知財活用の在り方に関する研究」と題して全国の大学における知財活用の実例について講演が行われました。 質疑応答では,教育方法や教育コンテンツなどの特許化,電子出願の方法,学生の発明を大学が承継することのメリット・デメリットなどについて参加者から質問が出され,小林昭寛氏から丁寧な回答がありました。今回のセミナーは,大学構成員として知的財産の重要性を改めて認識できる非常に良い機会となりました。
独立行政法人 工業所有権情報・研修館による平成23年度広域大学知的財産アドバイザー派遣先として,大阪教育大学,京都教育大学,奈良教育大学,滋賀大学及び和歌山大学が協力して形成したネットワークで,本学が幹事校となっています。このネットワークに対して,今年度4月より,広域大学知的財産アドバイザーの大西雅雄(大阪教育大学客員教授)が派遣され,各大学に見合った知的財産管理・運用体制の構築に関して助言をいただいています。 今年度からのことで,未だ数カ月しか経過していませんが,アドバイザーの協力のもと,本学では初めてとなる「特許実施許諾契約の締結」,同じく初の「イノベーション・ジャパン2011への出展」,また,特許出願3件(参考_前年度は1件)など,様々な面で大学の「知」を社会貢献につなげる活動を展開しており,また,秘密保持契約書・共同研究契約書のひな型作成など,今後大学が社会と協力して研究活動を行うために必要となる体制を順次構築できてきています。
(学術連携課・企画課広報室)