教職教育研究開発センターの關隆晴教授が担当する総合基礎科目「地域連携学校教育入門―現代社会を生きる―」で,7月5日(月),「社会貢献起業にどう取り組むか」をテーマに「Satoyama re-creation」(里山リクリエーション)事業について学ぶ授業が行われました。 この日は,ゲスト・ティーチャーとして「(社)Save Forest」代表理事の鈴木宣仁さんと理事の杉本勇二さんが講義を担当しました。 「(社)Save Forest」は,昔の村落共同体でみられた人々の絆(きずな)を日本全国の里山に育み,広げる活動を展開している一般社団法人です。
鈴木さんは,その主な柱である「あそびの森事業」「まなびの森事業」「里山プラス事業」について報告し,その中で「遊び」が子どもたちの脳の発達にとって非常に大切な活動であることを強調しました。また,活動全体のバックボーンとなる「Satoyama re-creation」の理念を解説しました。 一方,杉本さんは「里山プラス事業」として,中河内地域を中心に取り組んでいる「竹肥料商品化トライアル」事業について説明しました。 「トライアル」は,里山を荒廃させ住宅地にも被害をおよぼす竹を,里山再生活動の一環として伐採し,竹肥料や竹炭などの商品に加工して利益をあげることを目的とした,大阪教育大学生と「Save Forest」の共同商品化プロジェクトです。材料調達から商品開発,販売企画から販路開拓まで両者が共同して行うことで,「地産地消」事業モデルであることを社会にアピールし,企業の提携と行政の助成を獲得することをめざしています。 杉本さんは、ソーシャルビジネス運営のポイントや、起業で「もうける」(利益をあげる)ことの難しさについて,経験を交えながら解説しました。「市場調査はもちろんのこと,何をするのかのミッション(使命,目標)がまず必要です。でも,ミッションだけでは絵に描いた餅。商品をだれに届けるのかの顧客情報,資金調達とコスト意識,だれと事業を展開するのかなど,事業を成功させるためにはさまざまな条件があります」と語り,「成功させるのは並大抵の努力ではありません。用意周到、緻密な計画が求められます」と強調しました。 この「トライアル」には,本学から12人の学生がエントリーしました。今後の展開が注目されます。 關教授は「学生たちがこの事業で経験したことは,教職も含め就職してからも必ず役に立つ力となります」と話しています。
(企画課広報室)