トピックスバックナンバー(2011年~2020年)

2015.07.16

「広報文化交流」について外務省首席事務官が講演

 人間科学講座の山田正行教授の授業の一環として,外交講座第2回目が,7月9日(木)に本学柏原キャンパスで開催されました。今回は「広報文化交流」をテーマに,外務省の外務報道官文化交流・海外広報課の渡邉慎二首席事務官が講師を務めました。
 広報文化交流は,スポーツやポップカルチャー,日本語の普及などの文化交流を通して,日本の政策や社会,文化への理解・共感を促し,好意的な対日感情や世論の醸成をねらいとしています。外国政府との交渉を主とする一般的な「外交」に対して,広報文化交流は国民・世論に広く働きかけるもので,外交の基盤としての機能を果たしています。
 古くからあるこの外交手法に,平成27年度は約301億円,前年度比約51%増と異例の増額のとなる組織予算が付与されました。その背景には,世界の外交政策が,軍事・経済戦争というハードパワーからイメージ戦争というソフトパワーへ移り変わっていることが大きく影響しています。
 ソフトパワーとは,その国の魅力によって生まれる,外交を有利に働かせる能力のことを指します。外務省では,相手国の一般階級から支配者・知識階級に至るまで,日本の魅力を広く浸透させ,親日派・知日派の育成を図るため,日本ブランドの発信や世界遺産登録の推進など,広報文化交流の機能を強化しています。
 渡邉氏は学生に向けて「外交を行うのは政府だけではありません。全国各地でさまざまな国際文化交流イベントが催されているので,そういったところで日本の魅力を発信するところから始めてみませんか」と呼びかけました。
 講演後は,山田教授と安部文司教養学科長に加えて,国際文化交流に関心を寄せる学生らとの昼食を交えた懇談会が開かれ,「領土問題における『主張する』以外の解決策は?」「今後イメージ戦略をどのように展開していくか」など,率直な質疑応答が交わされました。

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[左写真]外務省の渡邉慎二首席事務官
[右写真]懇談会での質疑応答の様子

(広報室)