オーケストラのVR(仮想現実)映像を活用した音楽科の研究授業を、11月19日(土)に附属池田中学校で行いました。 今回、VR映像を活用することにより、360度の視点から臨場感のある鑑賞が可能になり、生徒は見たい位置や方向から映像を見ることができるため、自分が気になった楽器や指揮者に焦点を当てて鑑賞することができます。これは通常の音楽鑑賞で活用するDVD映像では、編集者の意図に沿って収録されるため実現できない鑑賞方法です。
授業では、中学校の教科書で扱うスメタナ作曲の連作交響詩「我が祖国」第2曲の「ブルタバ(モルダウ)」を、大阪教育大学シンフォニーオーケストラが演奏し、VR映像を手がける株式会社アルファコードの協力により収録したものを取り扱いました。 「ブルタバ(モルダウ)」はチェコを流れる大きな川の流れを表現した曲で、生徒らは4名程度のグループに分かれ、最初に音源だけを聴いて川のどのような様子が音楽で表現されているかを想像しました。その後、iPadや専用のVRゴーグルを使用してVR映像を視聴し、冒頭の旋律を演奏している楽器を見つけ、音色の特徴と情景について考察し発表しました。
生徒からは「実際にオーケストラの演奏をその場で聴いているような気持ちになり、いつ、誰が、どのように演奏しているのかがよく分かってオーケストラに興味が湧いた」「ある一つの楽器の音色を聴き取ることがCDでは難しかったが、VR映像ではしっかり理解できた上に、映像を拡大して演奏者の指使いや楽器の扱い方など新たな発見をすることができた」との感想が寄せられました。
授業を実施した音楽科の内兼久秀美先生は「作曲家が聴き手に伝えようとしている思いや意図を知るには、音楽の構造を理解することが大切です。VR映像を用いることによって360度見回すことができるので、どの楽器からどのような音色が聴こえてくるのかを、生徒自身に気づかせることができるようになりました。このような気づきの数々によって、オーケストラで使われている楽器や、作品に込められた作曲家の思いや意図をさらに知りたくなった、という生徒の姿がたくさん見受けられました。探究的に学ぶきっかけとなるVRを効果的に活用しながら、生徒たちが感性を豊かに働かせて音楽のよさや美しさなどを一層深く味わって聴くことができるようにしていきたいです」と語りました。
授業をする内兼久先生
iPadでVR映像を視聴する生徒
iPadとVRゴーグルを使用してグループ学習を行う様子
(附属池田中学校)