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2012.06.22

犬童徹画伯(本学名誉教授)の代表作が本学に寄贈

 本学名誉教授で画家(二紀会委員)の犬童徹(いんどう とおる)画伯(70)が制作した油彩画の大作1点がこのほど,本学に寄贈されました。作品は,第57回二紀展(2003)に出品された代表作「ジャズに魅せられて」(F150号)で,事務局棟4階西側壁面に展示されます。犬童先生は「学生たちや教職員に是非見てほしい」と語っています。
 本学名誉教授で犬童先生の同僚でもありました田中久和先生(元教員養成課程美術教育講座教授)は6月13日(水),犬童先生とともに長尾学長を訪れ,先日神戸市で開催された「犬童 徹 自選展」を話題に歓談しました。
 長尾学長は「先生のご厚意に感謝いたします。学生や教職員のみなさんには,本学元教員で高名な画伯の代表作を間近に見て絵画の素晴らしさを味わってほしい」と話していました。

【田中名誉教授 コメント】
 絵画に好んで馬をモチーフとして取り上げながら,これに人物を配する構図を作る犬童先生にも,20歳代の初期作から最近作まで様式の展開が見られるし,技法やマチエールにも変化が見られます。初期は,自然と人間の調和が優しい色づかいで描かれていましたが,近年は,人間の生命の根源にある大自然や宇宙の鼓動を,力強い筆致で表現していくという傾向が見られます。技法的には,主要なモチーフを画面の中央に大きく描き,そのフォルムを躍動的に作るとともに,強い発色の重厚な色彩によって,表現効果を集中的に示すというものです。その傾向は,1995年の阪神・淡路大震災を経て,一層顕著に現れてきました。
 今回寄贈された「ジャズに魅せられて」(2003)は,先生の構想が強く示された代表作の1つと言えるでしょう。馬が,躍動感溢れる筆致と黒い色彩で描かれ,その暴れ馬を,自然という巨大な力になぞらえながら,人間が楽器の演奏によってその脅威を鎮(しず)めようとするヴィジョンが平明な構成のうちに見事に表現されています。

※犬童先生の作品群を収録した画集『絵の歩み』は,事務局棟3階の「広報フリースペース」で閲覧できます。

「ジャズに魅せられて」と犬童先生(左)・長尾学長(中)・田中先生

(総務企画課総務広報係)