アジアの言語的・文化的に多様な子どもの教育を考える「第15回グローバルセンター国際シンポジウム」を開催

2024.11.20New

アジアの言語的・文化的に多様な子どもの教育を考える「第15回グローバルセンター国際シンポジウム」を開催

 「アジアにおける言語的・文化的に多様な子どもの教育を考える―韓国、台湾、日本の事例から」と題して、「第15回グローバルセンター国際シンポジウム」を11月6日(水)に開催し、本学教職員・学生の98人が参加しました。

 グローバル化の進展に伴い、小・中学校においてさまざまな言語的・文化的背景のある子どもに対する支援の必要性が高まっており、こうした子どもに対応できる教員の育成が課題となっています。そこで、本学の協定大学であるソウル教育大学と高雄師範大学から講師を招いて、韓国や台湾の先進的な取り組みについて紹介してもらうことを目的に本シンポジウムを開催しました。また、本シンポジウムはFD事業として位置づけられています。

 シンポジウムではまず、ソウル教育大学副学長のKim Sung-Sik教授から、韓国での支援の実態についての講演がありました。韓国では、韓国語を母語としない児童生徒のために、第二言語としての韓国語教育だけではなく、教科教育の補助教材を作成し、さらに受け入れ側の児童生徒の多文化教育も推進しようとしている点で、日本での支援の在り方や教育課題への示唆を得ました。

 次に、台湾において、国境をこえて越境する子どもに対する第二言語としての中国語教育のための支援システムを構築している高雄師範大学の鍾鎮城教授から、支援システムの実態についての講演がありました。台湾の事例には、学校と行政と教員養成大学のネットワークの在り方を考える上で、日本にも参考になる点がありました。

 最後に、本学の副専攻プログラム「外国にルーツのある子どもの教育」代表の高橋登教授が大阪市の言語的・文化的に多様な子どもを対象にして実施した質問紙調査について講演し、彼らは孤独を感じている一方で、多文化に開かれた子どもの心理的側面について発表しました。

 参加した学生からは、「各国が多文化背景を持つ子どもたちに対して独自の支援策を講じていることがわかりました。これらの事例から、多文化共生社会の実現には、教育現場での言語支援だけでなく、心理的なサポートや地域との協力が欠かせないと感じました。各国の取り組みは、異文化理解を深め、多様性を尊重する社会づくりの一助となっていると強く感じます」「韓国、台湾、日本の言語的・文化的に多様な子どもの教育を比較しながら改めて考えることができてとても良い時間になりました。日本でも外国にルーツのある子どもたちは年々増えているので、教育者がこのような実態を知り、どう対応していくのかを考え続けなければならないと思いました」などの感想が寄せられました。


シンポジウム登壇者の記念撮影
シンポジウム登壇者の記念撮影

高雄師範大学の鍾鎮城教授の講演
鍾教授の講演


(国際室)