これからの科学教育と博士人材の活用をテーマとした「高度理系教員養成シンポジウム」を1月23日(土)に大阪国際交流センター(大阪市天王寺区上本町)で開催し,大学や高等学校の教育関係者ら約80人が参加しました。 本学では,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)や科学オリンピックなど高度な内容を指導する機会が増えた高校現場のニーズに応えるため,博士の学位を有する高い研究能力を備えた人材を正規教員として学校教育に送り出す「高度理系教員養成プログラム」を,大阪府教育委員会,研究大学である京都大学・大阪大学・奈良先端科学技術大学院大学,教員養成大学の京都教育大学・奈良教育大学と連携して実施しています。このシンポジウムは,既に11人の教員を輩出した同プログラムの次なるステップのため,科学(理科)教育の展望と博士人材の活躍の場を考える機会として,連携5大学との共催で行いました。 はじめに,前大阪大学理事・副学長(教育担当)で同大学名誉教授の東島清氏が基調講演し,「博士人材は高等学校における生徒の主体的・協働的な学習の担い手として有効だ。今後は理系だけでなく文系の学位をもつ人材も検討してほしい」と述べました。 続いて同プログラムの実施責任者である片桐昌直教授が実施報告を行ったあと,大阪府教育委員会事務局の和田良彦教育監が「大阪府はSSHに指定された高等学校数が全国一であり,高度な研究に従事した経験をもつ教員にぜひ活躍してほしい」と訴えました。 次に,同プログラム修了者で神戸市立六甲アイランド高等学校教諭である岡本圭史氏と,現在同プログラムを受講している越谷祐貴氏からの報告があり,さらに博士教員同士が連携している秋田県の取り組みを,秋田県立大曲農業高等学校教諭の大沼克彦氏が紹介しました。 パネルディスカッションでは,北野正雄京都大学理事・副学長,小林傳司大阪大学理事・副学長,片岡幹雄奈良先端科学技術大学院大学理事・副学長,和田良彦教育監が登壇し,「このプログラムを学位取得者のキャリアパスの選択肢として,幅広い分野で展開してほしい」「もともと高校教員を志望する人が学位を取得して,このプログラムで教員になってほしい」「もっと多くの人に参加してほしい。博士人材の組織化も考えたい」といった意見が出されました。 参加者からは,「博士人材の教育現場での実践が聞けて参考になった」「これからの理科教育で博士人材が活躍することを期待している。秋田県だけでなく,広いネットワークができれば良いと思う」と感想が寄せられました。
[左写真]東島清大阪大学名誉教授[右写真]パネルディスカッション
(広報室)