向井康比己名誉教授が、一般社団法人染色体学会において「染色体学会賞」を受賞し、9月16日(木)に行われた染色体学会第72回年会中の染色体学会賞受賞式にオンラインで参加し、受賞講演を行いました。 同学会は、1949年に設立され、国際学術誌「Chromosome Science」を刊行するなど、生物の染色体の研究を推し進め、その発展と知識の普及を目的としており、生物系、医学系、農学系の染色体分野の研究者で構成されています。 向井名誉教授は、1976年に本学着任以来45年間、細胞遺伝学や染色体・ゲノム研究に取り組んできました。染色体研究を中心としてきた古典的な細胞遺伝学に対して分子生物学的手法を導入し、国際的なパイオニアとして「分子細胞遺伝学」という領域を確立。特に、世界に先駆けて行われたFISH法やGISH法などの可視化技術の開発では、コムギをはじめとする多様な高等植物において染色体に関する先駆的な研究を行ってきました。 2018年の本学退職後も引き続き、審査を経て独創的・先駆的だと認められた研究に助成される研究費である科研費基盤研究(B)を獲得し、国際会議で招待講演を行うなど活発に活動してきました。今回、これまでの染色体に関する研究が同学会に評価され、「植物おけるゲノム可視化技術の先駆的開発と植物分子細胞遺伝学の確立」というタイトルで「学会賞」が授与されました。 また、向井名誉教授は、11月5日(金)に栗林澄夫学長を表敬訪問し、今回の受賞を報告するとともに、「本学発信のオリジナル研究が国際的にも高く評価されたことは、本学のこれまでの研究重視の姿勢と研究環境の素晴らしさによるものだ」と謝意を示すとともに、「引き続き、自分の研究分野のみならず教育など他分野との融合をめざし、子どもたちにも夢を与える教育、啓発活動に取り組んでいく」と今後の抱負を語りました。
染色体学会におけるオンライン受賞講演
学長表敬の際の記念写真(左:栗林学長、右:向井名誉教授)
染色体学会賞授与記
2021年11月12日掲載 (広報室)