サーマルカメラ×AIの産学連携の実証実験&研究成果を記者発表

2023.08.10

サーマルカメラ×AIの産学連携の実証実験&研究成果を記者発表

 サーマルカメラ(対象の温度を色分けして示す特殊なカメラ)を活用し、授業中の学習者の行動を分析する実証実験と研究成果に関する記者発表を8月3日(木)に大阪経済記者クラブ(大阪商工会議所ビル4階)で実施し、4社9名が取材に参加しました。また、本発表会の前日には、一部報道機関の要望により、天王寺キャンパスにて実証実験のデモンストレーションを行いました。
 これは、教育イノベーションデザインセンター副センター長の仲矢史雄教授が、大阪商工会議所国立研究開発法人産業技術総合研究所人工知能技術コンソーシアムの支援のもと、関西電機工業株式会社との共同研究でサーマルカメラと画像認識技術を活用した姿勢分析システムを開発したことを発表したもので、仲矢教授は、教員が学習者の授業中の適切な行動を積極的に言語賞賛することにより、学習者の授業への集中力が増し、問題行動が減少することを実証した大学院連合教職実践研究科の庭山和貴准教授の研究「中学校における教師の言語賞賛の増加が生徒指導上の問題発生率に及ぼす効果-学年規模のポジティブ行動支援による問題行動予防-  」に着想を得て、庭山准教授の研究において手作業で行っていた部分をAIで代替することにより、実際の授業でより実施しやすいものとすることを目的に取り組みました。

 8月2日(水)のデモンストレーションでは、学生らが協力し、座る・机に伏せる・立つの各姿勢をサーマルカメラの前で示し、AIがそれぞれの姿勢を判断しました。
 翌日の記者発表は、まず、仲矢教授が実証実験の目的は教育の質の向上であることや実験の過程、サーマルカメラを用いたことによりプライバシーの侵害に留意できる利点を説明し、記者からの質問に答えるという流れで行いました。

 記者からの「このシステムを開発したねらいは」の問いに対し、仲矢教授は「教育の質の向上には、客観的な観察と記録が必要です。これまでは、その役割を人間が担っていましたが、その作業負荷は大き過ぎました。現代の技術を活用し、これらのプロセスを支援したいという想いが研究を始めた動機になります」と話し、庭山准教授が「このシステムは、学習者を監視するということではなく、子どもの様子を『見える化』することにより、教員の授業改善のきっかけの一つとなってもらいたい」と述べました。
 今後の活用の促進ついての問いに対し、教育イノベーションデザインセンター長の鈴木剛副学長は「多くの教育現場で活用していただきたい。来年春にオープン予定の『みらい教育共創館(仮称)』でも設置を検討し、多くの教員の方々に触れていただく機会を設けたいと考えています」と語りました。


デモンストレーションの様子(机に伏せる姿勢の学生)


デモンストレーション時の取材の様子


記者発表の様子(左から、鈴木副学長、仲矢教授、庭山准教授、産業技術総合研究所人工知能技術コンソーシアムの豊田俊文副会長、大阪商工会議所産業部の松本敬介部長)


実証実験の説明をする仲矢教授


記者の質問に答える庭山准教授


システムの今後の活用方法を語る鈴木副学長

 

(教育イノベーションデザインセンター)