令和7年度学位記・修了証書授与式式辞
⼤阪教育⼤学本部の柏原キャンパスが所在する⾦剛⽣駒紀泉国定公園にも、春の陽光がやわらかに降りそそぎ、キャンパスの⽊々は新たな息吹をたたえはじめております。
本⽇この佳き⽇に、学部を卒業される皆さん、特別専攻科を修了される皆さん、ならびに⼤学院教育学研究科修⼠課程および連合教職実践研究科を修了される皆さんに、⼼よりお慶びを申し上げます。
また、今⽇まで皆さんを⾒守り、励まし続けてこられたご家族・関係者の皆さま、そして学びを⽀えてきた教職員にとりましても、本⽇の⾨出は無上の喜びであります。
振り返れば、皆さんが本学で研鑽を積まれた歳⽉は、社会の変容がかつてなく加速し、将来の⾒通しが⼀層困難さを増す時代でありました。この⼀年をとっても、世界では⽣成AI の急速な進展が社会の基盤に⼤きな揺らぎをもたらし、グローバル化の進展と地政学的緊張のなかで、平和・デモクラシー・公正な社会の在り⽅があらためて問われています。
国内においても、深刻な少⼦化が加速する中、中央教育審議会による次期学習指導要領に向けた諮問や、国⽴⼤学協会による「新たな将来像」の公表など、2040 年を⾒据えた具体的な変⾰のスタートラインに⽴つ⼀年となりました。
このような激動のさなかにあって、教育の果たすべき役割はますます⼤きくなっています。学校現場では、GIGA スクール構想により⼀⼈⼀台端末の環境が整い、CBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)の導⼊が進むことで、150 年続いた「紙のテスト」から脱却しようとしています。従来の「⼀⻫授業」というスタイルから、学習者が⾃ら選択して活⽤できる教材プラットフォームを基盤とした個別最適な学びへと、教育観は⼤きな転換期を迎えています。
皆さんは、まさにその最前線で、新たな時代の学びを切り拓く担い⼿となります。⼈⼝減少が避けられない⽇本において、国全体の「知の総和(⼈⼝ × 能⼒)」を維持・向上させることは不可⽋であり、その根幹を⽀えるのが初等中等教育です。皆さんには、単なる知識の伝達者にとどまらず、⼦どもたちの知的好奇⼼を引き出し、多様な他者と協働して「正解のない問い」に向き合う⼒を育む「専⾨家としての教師」や「教育⽀援⼈材」として活躍することが期待されています。
この節⽬にあたり、私から⼆つのことをお伝えしたいと思います。
第⼀に、⾃らの⼼に「志」を⽴ててください。2040 年には、皆さんは社会の中核を担う世代となります。
AI やロボット活⽤を担う⼈材の不⾜が懸念される将来にあって、皆さんが培ってきたICT の活⽤、⼼のケア、持続可能な社会づくりに関する学びと研究は、未来を照らす確かな灯⽕です。社会の中でどのような役割を果たし、誰のために⼒を尽くしたいかという「志」を胸に刻めば、どのような荒波も乗り越えることができます。
第⼆に、「学び続ける」という姿勢を⽣涯⼤切にしてください。教師は、専⾨教科を魅⼒的に伝えるセールスパーソンであると同時に、学びを⽀えるファシリテーターでもあります。本学が推進する教員⽣涯学習プラットフォーム「オゾン(OZONE-EDU)」を活⽤し、⾃らを常にアップデートし続ける謙虚で真摯な姿勢こそが、皆さんの⼈⽣を豊かにし、周囲の⼈々に勇気を与えることになります。
最後に、皆さんが⼤阪教育⼤学で築いた友情や恩師との絆は、何物にも代えがたい⼀⽣の宝です。
志を同じくして切磋琢磨した仲間は、⼤学を巣⽴った後も、皆さんの⼼の⼤きな⽀えとなるでしょう。
皆さんが本学での学びを礎として、⼼⾝ともに健やかに成⻑され、全国へ、そして世界へと⼤きく⾶躍されることを⼼より祈念いたします。
卒業、そして修了、本当におめでとうございます。
2026年3月25日
大阪教育大学長
岡本 幾子