令和4年度学位記・修了証書授与式式辞
学部を卒業される皆さん、特別専攻科を修了される皆さん、大学院修士課程を修了される皆さん、専門職大学院としての教職大学院を修了される皆さん、皆さんのこれまでの勤勉な学業への取り組みと社会活動を通じた貢献をねぎらいたいと思います。
また、その結果が学位記並びに修了証書として実ったことを、ここに、心からお祝いいたします。
皆さんの修学のプロセスを振り返ってみますと、学業期間の大部分は、COVID-19、通称新型コロナウイルスによる感染症の拡大により、皆さん自身が大きな制約を受ける中で過ぎていったことと想像します。
学業の継続にとって障害になる事や、解決しなければならない課題も多くあったと思います。平時と比較して、より大きな困難を伴いながら、皆さんがこうして当初の学業の目的を達成された事は、皆さん自身が困難を前にしてもそれを乗り越えて成果をもたらすことが出来る、という能力を示すものであり、また、その証明でもありますので、学位記並びに修了証書は大切に保管していただきたいと思います。
さて、今後大学院への進学を志しておられる一部の方は別にして、多くの皆さんは、本日取得された学位を手に、これまでの学生生活とは大きく異なる領域で活動されることになります。
教職に就いて教師としての活動を始める多くの卒業生の皆さん、企業人として、あるいは公務員としてはばたく皆さん、さらには大学院修士課程を修了され、若き専門家としての道を歩み始める皆さん、皆さんが向き合っていく社会は、近年大きく変容してきましたし、現在もなお、変容し続けています。
日本最初の近代的学校制度を定めた教育法令である学制が敷かれてから150年が経ちますが、その間、日本全体が戦争をも含む大きな変化を体験してきたこと、そうした中で、社会における人間形成の在り方も変転してきたことは、皆さんがご存知の通りです。
さらに、近代化から現代化へと移行する過程で、国と国との関係の中で模索されてきたこれまでの人間形成とそれを基盤とする自己実現の在り方が、国際化の拡大と情報化の促進によってより広い視野の基に位置付けられようとしています。
個別の国同士の関係の中で位置付いてきた情報の取り扱いや国際関係、その影響のもとに形作られた社会と人間形成が、今は、より広範囲の複数の国々を含む、広領域、地球規模の領域の中で自己実現を模索するという変化の時期を迎えており、皆さんはそうした時代に向き合っておられるのだとも言えます。
新型コロナウイルス感染の脅威にさらされながらも、その意味では、皆さんが体験してきた学生生活は、これからの変化に富んだ新しい地球時代を創り上げていくための準備期間であったと考えることが出来るのではないでしょうか。
そうだとすれば、皆さんの現在は、アフターコロナの新しい社会の形成のための活動に向かう節目に位置していることになります。
皆さんの母校である大阪教育大学は、皆さんの今後の活動と並行するように、今後の教育界を革新していく役割を担う大学として、文部科学省より教員養成フラッグシップ大学の指定を受けました。
大阪教育大学が中核となって地域の教育委員会や産業界との連携を推進し、大学と学校教員との連携活動を進展させるとともに、大阪教育大学と他の教員養成大学や教育学部を有する大学との連携を一層深め、教員養成システムを強化していくことで、日本の学校教育の内実を組織的に高度化していく取組みを進めています。
また、カリキュラム面においては、ダイバーシティ教育を基礎として先導的・革新的な教員養成カリキュラムを一体的に展開し、教員となっていく学生の資質の多面性を保障して、今後の学校現場の教育が重視している多様性に備えること等を、既に進めているところです。
そうした意味では、皆さんの今後の活動と大阪教育大学の教員養成フラッグシップ大学としての活動は、地球規模の社会形成の先導役として、共通の役割を担うことになるのかも知れません。
これからの皆さんの活動が、母校である大阪教育大学の役割と共通して、社会における広い意味での有意義な貢献機能を果たすことを強く期待しまして、お祝いの御挨拶とさせていただきます。
2023年3月23日
大阪教育大学長
岡本 幾子
令和4年度学位記・修了証書授与式式辞(PDF 199KB)