令和7年年頭挨拶(1月6日)

令和7年年頭挨拶

 新年あけましておめでとうございます。令和7年(2025年)の始まりにあたり、皆様にご挨拶を申し上げます。

 大阪教育大学創基150周年を迎えた昨年は、大阪教育大学にとって多くの挑戦と成果の年でした。教職員、学生、地方自治体、そして産業界などの各界、各方面の皆さま方のご協力により、数々の目標を達成することができました。心より感謝申し上げます。

 2025年を迎えるにあたり、私たちが直面する教育の課題について考えてみたいと思います。

 急速に変化する社会のニーズに対応するため、現代の教育には、柔軟性と革新性が求められています。特に、デジタル技術の進展に伴い、オンライン教育の質をいかに向上させるかが重要であります。本学は、教員の自律的な学びを支援する、教員生涯学習プラットフォーム「OZONE-EDU(オゾン)」により、良質なオンライン研修を実施していますが、今後は、学生の学びを支援するためのオンラインリソースにつきましても、他大学との連携を視野に入れつつ、更なる充実を図ってまいりたいと考えております。

 グローバルな視点を持った人材の育成につきましても、教育の重要な課題であります。国際交流プログラムの拡充や、多文化共生の教育を通じて、学生が異なる文化や価値観を理解し、尊重する力を養うことが求められています。また、学校や教員だけでなく、学校を取り巻く様々な教育に関わる専門領域の発展も必要不可欠となっています。本学では、昨年の教員養成課程の改組に続き、本年は、教育課題を学校教育の外から解決するための支援人材を育成する、教育協働学科が組織再編されます。4月には、3つの専攻、7つのコースへとアップグレードした教育協働学科に1期生が入学してまいります。

 質の高い教師の確保につきましても、教育の重要な課題です。大阪教育大学は西日本最大の教員養成大学として、11の附属学校園とともに日本の学校教育の進展に貢献しております。文部科学省は、昨年8月に中央教育審議会の総会を開き、当時の文部科学大臣に、「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策を取りまとめて答申しました。文部科学省からの諮問に、中教審が特別部会を設けて検討してきたもので、内容は、(1)「さらなる学校における働き方改革の在り方について」(2)「教師の処遇改善の在り方について」(3)「学校の指導・運営体制の充実の在り方について」など3つの事項であります。
 2025年度予算案に関連経費を盛り込んだ政府の方針が昨年末に示されたところです。本学におきましても、附属学校園に求められる使命の遂行と更なる機能の向上に向けて、附属学校園と大学が一体となって、将来像を検討してまいります。

 さて、大阪教育大学は、文部科学大臣から教員養成フラッグシップ大学に指定されて今年で4年目になります。この間、産官学連携の研究ネットワークのもと、教育課題の解決に資する教員養成改革を進め、その成果を全国に展開することを通じて、大阪から日本の教育改革をけん引するという大きな目標に向かって様々な取り組みを、スピード感をもって進めております。この3月には3年目評価の結果が開示されます。「問い続け、寄り添える教師」を育てる教職プログラムの全国展開と組織連携を担う拠点となるために掲げた、3つの成果目標は、(1)「三層省察型教員養成カリキュラムを全国の大学へ横展開すること」、(2)「シンクタンク機能の充実と成果を発信すること」、(3)「学び続ける教員を支えるプラットフォームの充実と展開」であります。全学横断的に組織された15のユニットからなる未来教育共創推進統括本部のもとで順調に進捗しております。
 改めまして、フラッグシップ大学構想に参画いただいている皆さま方に、心より感謝致しますとともに、取組みの総括に向けて引続きご尽力を賜りますようお願い申し上げます。

 さらに、長年の懸案でありました博士後期課程の設置が認められました。北海道教育大学、福岡教育大学と本学との「共同学校教育学専攻」で、この4月に博士課程1期生の学びが、天王寺キャンパスみらい教育共創館で始まります。これまで各大学が取り組んできた教員養成の実績を活かして、新たな時代に向けた取り組みを進めるため、全国を縦断するネットワークを構築しつつ、学校現場をフィールドとした臨床的研究によって課題解決に寄与する大学教員等を養成するとともに、教員養成モデルや教員養成学の開発、個別地域に留まらない全国レベルでの課題解決につながる臨床研究を行ってまいります。

 新しいアイデア、プロジェクトへの積極的な参加、そして共に学び合う姿勢が、大学の発展には不可欠です。新しい教育のビジョンを実現するために、そして、よりよい大学を共に築いていくための努力を、皆さまと協働して進めていきたいと考えています。
 期待に胸を膨らませて新しい年を迎えることができることに感謝しています。

 皆さま、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 2025年1月6日
大阪教育大学長
岡本 幾子