令和6年度学位記・修了証書授与式式辞
本日、学部を卒業される皆さん、特別専攻科を修了される皆さん、大学院教育学研究科修士課程及び連合教職実践研究科を修了される皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、これまで皆さんを励まし、支えてこられたご家族をはじめ、関係者の皆さまにも、本学の教職員を代表して、心よりのお祝いをお伝えしたいと思います。
さて、私たちはこの一年、自然の脅威と、それが私たちの生活に及ぼす影響の大きさを改めて痛感しました。令和6年元旦に発生した石川県能登半島地震、9月の奥能登豪雨、そして先月発生した岩手県大船渡市の大規模林野火災。これらの災害は、人々の日常を一瞬で奪い、尊い命をも奪いました。そして、それは子供たちの学びの場にも深刻な影響を与えました。被災された皆さまには、改めて心よりお見舞い申し上げます。
こうした災害は、教育の在り方を、改めて問う機会でもあります。皆さんが学ばれた大阪教育大学は、我が国の先導的な教員養成大学として、教育の充実と文化の発展に貢献し、とりわけ教育界における有為な人材の育成を通して、地域と世界の人々の福祉に寄与する大学であることを使命としています。被災地では、子供たちが学ぶ環境を失い、教育が途絶えることで将来への希望さえも奪われることがあります。だからこそ、大学で高等教育を受けた皆さんには、知識や技術だけでなく、人々に寄り添い、希望を届ける力が求められます。
皆さんが在学中に大きな影響を及ぼしたコロナ禍は、私たちの社会に様々な変化をもたらしました。当時、密閉・密集・密接の三密を避けるため、必要に迫られて導入されたオンライン授業は、現在、新たな学びのスタイルには欠かせない有益な手段となりました。それとともに、教師には、これまで以上に柔軟な発想と多様なスキルが求められるようになっています。
現代の学校教育は、少子化、教育格差、ICTの進展、さらには多様化する子供たちのニーズなど、多くの課題に直面しています。こうした課題に対し、皆さんが本学で学んだ理論と実践、そして現場での経験を活かし、未来を切り開く担い手となることを期待しています。
特に、初等中等教育を支える教師の役割は極めて大きなものです。教師は単に知識を伝えるだけでなく、子供たちの人格形成や未来の国を支える人材の基礎づくりに貢献します。どのような環境にあっても、子供たちが夢を持ち、自らの可能性を信じて学びを続けられるように寄り添い、導くことが求められます。教育の力が、災害を乗り越え、地域を再生し、社会全体の未来を築く原動力となることを忘れないで下さい。
本日学位を授与された皆さんの中には、教職大学院で学び、教職修士(専門職)を取得された方々、教育学研究科で学び、修士(教育学)や修士(学術)を取得された方々、そして特別支援教育特別専攻科で学び、特別支援学校教諭一種免許状を取得された皆さんがいらっしゃいます。皆さんには、それぞれの専門分野で培われた知識と経験を活かし、将来の新たな課題や社会の変化に対応できる確かな洞察力と構想力、そして実行力等を備え、日本はもとより国際社会に貢献できる人材として大いに活躍されることを心より願っております。
大阪教育大学の起源は、1874年、明治7年ですから、皆さんは大阪教育大学創基150周年という記念すべき年に最終学年を過ごし、学びの節目を迎えたことになります。この歴史ある大学で培った知識と経験は、皆さんが今後社会で活躍するうえで確かな礎となるでしょう。
これから、皆さんは、自分自身で決めたそれぞれの道に進まれますが、共通して言えることは、本学の卒業生一人ひとりがそれぞれ大きく成長できる可能性を秘めているということです。新たに進む社会で、自身の可能性を信じて何事にも積極的に取り組んでください。また、社会の中でどのような役割を果たしどのように貢献したいのかを真剣に考え、「志」を立ててください。「志」は自身の心に秘めた目標であり、その「志」を達成するために、今成すべきことを考え、それに全力で取り組んでください。判断力と倫理感を身に着け、社会人としての自覚を持ってください。そうする中で、やがて周囲からも認められ、協力が得られ、「志」は実現し、充実した人生を送れると確信しています。
そして、「学び続けること」が、これからの皆さんの人生をより豊かにする鍵となります。教育の現場に立つ人、地域や国際社会に貢献する人、それぞれの道で皆さんの力を存分に発揮してください。災害を乗り越え、人々に学びの機会を提供し続けることこそが、教員養成大学で教育を受けた者の使命であると信じています。
将来の自分自身の進路を目指し、共に学び、切磋琢磨した仲間たち、そして恩師との絆は、かけがえのない財産です。これから歩む中で、困難に直面した時、迷った時、悩んだ時、互いに支え合い、励まし合ってください。
最後に、この大学で築いた友情や絆を大切にし、社会に羽ばたいていく今、心の支えとして大切にしてください。皆さんの今後のご活躍を心より応援しています。
皆さんの前途が希望に満ちたものであることを心より願い、お祝いのご挨拶とさせていただきます。本当におめでとうございます。
2025年3月25日
大阪教育大学長
岡本 幾子