健康安全教育系の小崎恭弘教授が担当する「家族関係学」の授業の一環として、12月10日(火)、大阪大学特任研究員の岡真裕美氏をゲスト講師に招き講演を行いました。
岡氏の夫は2012年4月、小中学生が川遊びをしていておぼれた現場に偶然通りかかり、救助しようと川に飛び込んで命を落としました。思いもよらない事故で突然家族を失った岡氏は、なぜ事故が起きたのか、どうすればこうした事故を防げるのかを考えたいと、大阪大学の大学院に入学。学校教員の経験もあることから特に子どもの安全や事故予防について研究し、講演や出版を通した啓発活動に精力的に取り組んでいます。
講演は「『家族』とは?―死別母子家庭のケースから―」と題し、ひとり親家庭をテーマとして取り上げました。岡氏は初めに、事故現場となった川の構造的な危険性とそれに気づきにくい状況、さらに小中学生だけで川遊びをして事故につながった背景について解説し、当時の自身の心境や周囲の反応、5歳と2歳で父親を失うこととなった子どもたちの様子を語りました。また、教員として関わった生徒が、事故後に初めて親を亡くしていたことを明かしてくれたエピソードを話し、「自分がつらい経験をして初めて、子どもたちにも多様な背景があるんだということを実感しました。表面では平気そうでも、実はつらいことがあったり、家庭が複雑だったりする子もいます。そうした子どもの心を想像できるような先生になってほしい」と呼びかけました。質疑応答で学生から「家族が亡くなったことを周りの人に伝えた時に、どう反応してもらえるのが良いか」と問われると、「人によって、またお互いの関係性によって違うとは思いますが、極端に気をつかったり悲しんだりするよりは、普段どおりに接してもらうのが良いと思います」と答えました。
授業終了後、岡氏は学生に望むこととして「子どもたちの家庭は本当に多様で、自分の経験や考えだけが全てではないということはぜひ知っておいてほしいです。さまざまな人の話を聞いたり社会経験を積んだりして、いろんな世界を見てほしいと思います」と述べました。
講演の様子
小崎教授(右)や学生の質問に答える岡氏
(広報室)