学校危機メンタルサポートセンターによる「e安全学習研修会」が3月3日(木)に同センター研修室で開催され,全国8都府県と中国広東省,山東省および上海市から学校安全を担当する教員や研究者ら26人が受講しました。学校安全教育を世界に向けて発信するために,同センターが開発したデジタル版e-learning教材「e安全学習教材」の効果や使い方を研修するもので,修了した受講者は「e安全学習普及員」に認定されます。 e安全学習教材では,小学校低学年・中学年・高学年と,発達段階に合わせて設問が用意され,4つの選択肢からふさわしいと思う答えを選び,回答後には解説が表示されます。エレベーターを例に身近な密室での危機対応を学ぶ「エレベーターに一人で乗った時は…」,先入観の危うさを問う「こわい人ってどんな顔?」など,さまざまな生活シーンにおいて,危険を察知し身を守るための対処法を,アニメーションでわかりやすく紹介しています。 同教材の特色は,学習プログラムの中に家庭の参画を組み込んでいることです。学校で学習を行った後,家庭で保護者が回答を確認してコメントを送信し,教員がそれを参考に授業計画を立て,再度振り返り学習を行います。同センターの藤田大輔センター長は「これまでの安全教育は,『危険』を強調しすぎて,結果として子どもたちの地域への不安感を強めていました。学習の中に保護者の声を反映することで,子どもが地域から守られているという安心感を持ち,地域への信頼につながるとともに,保護者自身も学校安全・地域安全づくりへの主体的な自覚が芽生えます」と解説しました。 受講者たちは実際に,タブレット端末内の教材にふれて質問に回答しながら,操作性や設問内容を確認していました。「操作しやすいし,親しみやすいアニメーションも良い。中国ではe-learning教材はまだ導入されていないので,日本の安全教育の考え方やノウハウをもっと吸収したい(中国広東省教諭)」,「家庭の目を安全教育に組み込む点が良い。この教材の有用性を広めたい(大阪府教諭)」などの声が寄せられました。また,「タブレット端末よりもゲーム機向けにするほうが,親子で遊びながら学べて会話も増えるのでは(NPO職員)」といったハード面の要望も聞かれました。
[左写真]藤田大輔センター長による講演[右写真]e-learning安全学習教材をテストする受講者
(広報室)