男女共同参画推進会議と「ジェンダーとセクシュアリティ」の授業との連携による,特別授業「セクシュアルマイノリティの生徒支援から学んだこと」が,1月4日(月)と5日(火)の二日間にわたり柏原キャンパスで開催されました。大阪府立福井高校の小川隆史教諭が講師となり,これまで関わってきたセクシャルマイノリティの生徒のエピソードを交え,学校現場における支援体制の現状について語りました。 学校の支援体制について,小川教諭は「セクシャルマイノリティの生徒は,自分を肯定できなかったり, 自らのセクシャリティを隠したりしている場合が多い。ストレスを抱え込んでメンタルサポートが必要な状態にあるケースも珍しくありません」と指摘します。性別に違和感を覚えている生徒に対しては,「生徒が自認する性別での制服の着用やトイレの使用を認める,全教員がセクシャルマイノリティに対する共通認識を持つ,人権教育を推進して生徒の人権感覚を育むなど,学校全体で支援や配慮の環境を整えることが求められています」と分析しました。 さらに,「教師一人の引き出しには限りがありますが,いろいろな立場の人と出会わせることができるのが教師の醍醐味です。また, 保護者や教員,メンタルサポート機関と連携してプロジェクトチームをつくることで,多角的に生徒を支援することができます」と語りました。当事者生徒への接し方については,これまで培われてきた大阪の人権教育の原則にたつことにより,ブレることなく方針を立てることができたといい,「当事者生徒の気持ちに寄り添い,先回りして決めつけず,本人の選択を待つ姿勢が大切です」と学生にアドバイスしました。 その後開かれた学生によるグループディスカッションでは,「当事者生徒の将来も見据えた支援が必要」「日常的な人権教育や集団づくりを通してカミングアウトできる雰囲気をつくることが大事」などの意見が出されました。また,出席した学生からは「教師としてカミングアウトされた際に,子どもの意見,気持ちを第一に尊重し,その上で大人の当事者との出会いや学校,親との連携を図って,チームで温かく向き合っていくことが大切だと思った」「小川先生の話を聞いて,様々な問題を抱えた生徒の心を養う力を教員は持っているのだと思い,真剣に生徒と向き合う先生たちをカッコいいと思った」などの感想が寄せられました。
[左写真]大阪府立福井高校の小川隆史教諭[右写真]グループディスカッションする学生たち
(広報室)