トピックスバックナンバー(2011年~2020年)

2015.08.04

データの分析から教育改善をめざすカンファレンスを実施

 北海道教育大学・愛知教育大学・東京学芸大学・大阪教育大学の4大学による「教員養成開発連携機構(通称『HATOプロジェクト』)」のIR部門の活動として,データ分析カンファレンスが7月1日に開催され,教職員合わせて37人が参加しました。
 大学におけるIR(インスティトゥーショナル・リサーチ)とは,教育,研究,財務等に関する大学の活動のデータを収集・分析し,大学の意思決定を支援するための調査研究を指します。HATOプロジェクトでは,大学の教育の質的向上を目的とする「教学IR」に取り組んでいます。
 カンファレンスは,新入生学習調査の分析報告と,データベース処理についてのセミナーの二部構成で,いずれも本学情報処理センターの城戸楓特任助教が解説しました。
 第一部「平成26・27年度新入生学習調査票に関する分析」では,HATOプロジェクト4大学が共同実施した新入生学習調査のデータが報告されました。調査はアンケート形式で,大学生としての総合的な心性を明らかにする設問と,教育大学の学生特有の心性を探る設問で構成されています。このデータを基に,4大学の集団的個性を分析して本学の特徴を割り出すとともに,高校での学習状況や本学を志望した動機と,入学後の成績との関係を分析しました。
 城戸特任助教は「これらの分析はIRの導入部分にすぎず,ここから実際に『何を』向上させるのかを大学として決める必要がある」として,教育の質向上のために,より踏み込んだ分析が必要であると強調しました。続く質疑では,「教員志望者に大学の魅力を伝えるにはどうすればいいか」「学校教員への就職をどのように導くか」といったことが議論されたほか,「教員として就職する地域の特性と学生の特性のマッチングは可能か」などの質問があがりました。
 第二部は「教学IRのためのデータベース処理」と題して,第一部の分析報告を例にとり,グラフの種類の使い分けや集計の手法,因子分析についてなど,データベース処理の基礎を解説しました。
 参加者からは「今までアンケートをとっても単純に件数をまとめるだけだったが,設問を精査し,結果をきちんと分析すれば,集団の特性やニーズがより詳しく割り出せることがわかった」などの感想が寄せられました。
 同プロジェクトは今後,年2回程度カンファレンスを開催し,教職員にIR活動の理解を促すことにしています。

城戸楓特任助教
カンファレンスの様子

[左写真]城戸楓特任助教

(教務課)