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2013.03.11

芸術文化専攻の大学院生がピアノ演奏でオーケストラと協演

 本学大学院芸術文化専攻1回生の有馬圭亮さんは2月22日(金),「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ」(文化庁,日本演奏連盟など共催)の第10回大阪公演で,ピアノ演奏で日本センチュリー交響楽団と協演しました。昨年秋にオーケストラと協演できるオーディションに合格し,今回,晴れの舞台に立つことができました。オーケストラと協演できる力量のある有望な新進演奏家として認められたことになり,有馬さんは「緊張しましたけれど,何とかやり遂げました。今後もピアニストとしての活動を広げていきたい」と意欲的です。
 演奏曲はラヴェル『左手のためのピアノ協奏曲』。有馬さんは2年半前の2010年9月に,局所性ジストニア発症により右手のコントロールを失いました。4歳からピアノを始め本学芸術専攻に入学しましたが,両手で演奏するものという固定観念があったので,「一時は暗闇の中をさまよいました」。懸命のリハビリに取り組みましたが完治に至らず,左手で弾くピアニストとして歩むことを決意しました。「片手で弾くために作られたピアノ曲がたくさんあるということを知り,救われました。歴史に埋もれてしまった曲を発掘し,その価値を研究することをテーマにしています。約6,000曲もあることがこれまで分かっています」
 現在,左手のための音楽の普及活動を進める「左手のアーカイブ」プロジェクトに所属。片手の初級用楽譜「日本の唱歌シリーズ」を出版するなど,ハンデキャップをもつ子どもや音楽愛好家のための活動も精力的に取り組んでいます。
 指導教員の志賀美津夫教授は,「この病を告げられた時の彼の心中を察すると,よくオーケストラと協演できるほどまで努力したと思います。また,ピアノの演奏について視野が広まった部分もあるかも知れません。この病を克服して再びステージに立った世界的ピアニストもいるので,それを信じて当面の研究課題に取り組んでいってほしいと思います」と話しています。

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(総務企画課)