目的は、「 従来の縦割り型の学びを超え、知識を横断的につなげていく思考力を養うこと」
紙おむつから広がる学び
「この紙おむつは、家庭科以外ならどんな教科とつながると思いますか?」という小﨑教授の問いかけから授業は始まりました。学生たちの机の上には、紙おむつやビーカー、はかりなどが並び、一見すると保育の授業のように見えます。まず学生たちは紙おむつを観察し、吸水実験を行いました。紙おむつの中に含まれる高吸水性ポリマーを取り出し、水を加えることでどのような変化が起こるのかを確かめていきます。学生たちは、どれくらい水を吸うのか、濡れたり重くなったりすることでどう感じるかといったことを考えながら実験を進め、紙おむつの仕組みや性能について理解を深めました。しかし、この授業で重視されているのは、実験結果そのものではありません。例えば、紙おむつに使われている素材は理科の視点につながります。商品の表示や価格、業界のルールは社会科や消費者教育の視点です。使用後の処理やごみ問題は環境問題とも関係しています。さらに、パッケージデザインや広告表現には美術や情報の要素が含まれています。一つの題材から、さまざまな教科へと横断的に学びが広がっていきます。
「着目すること」の大切さ
授業中、小﨑教授は学生の発言を丁寧に拾いながら話を進めていました。「なぜ今、教科横断が求められていると思いますか?」という問いに対し、ある学生は「子どもたちが単に知識を学ぶだけでなく、未来への一歩を踏み出す力を得るためには、自ら学び、課題を解決するサイクルを身につける必要があるからです」と答えました。すると小﨑教授は、「未来への一歩という言葉がいいですね」と、その表現に着目します。今後、実習に参加する学生たちに、正解かどうかを評価するのではなく、その人らしい視点や言葉を認め、そこから学びを広げていくという授業づくりについても説明がありました。また、小﨑教授は授業の中で“着目すること”の大切さについても話しました。「物事の変化を見ることは、全ての学びの基本です。変化に気づける人とは、元の状態がどうであったかを理解している人です。同じように、子どもや保護者の変化に気づける人は、その人たちの前提となる状況を理解しています。変化に気づかない人は、その前提が分かっていないために、何が変わったのかにも気づくことができません。だからこそ、現状を正しく理解することが何よりも重要な前提となります」という言葉に、教育者として必要な視点が込められていました。
学生へのメッセージ
「教育現場は、毎日同じ場所に行きますが、毎日違うことが起こる答えのない場所です。一見すると同じことの繰り返しのように思えるかもしれませんが、実際には子どもたち一人ひとりの状態や関係性、出来事によって、その日の状況は大きく変わっていきます。そこで求められるのは、答えのないものや形のないものへの対応力、そして子どもたちと一緒に考えながら形や答えを見つけたり作ったりしていく力です。この“教科横断と探究学Ⅱ”は、それを身につける第一歩だと思ってもらえたら面白いと思います」
授業DATA
対象学年 :3回生
主な対象学生:次世代教育専攻、教科教育専攻、特別支援教育専攻
(2026年5月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。
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