子どもの「自発性」を引き出し、共に創る授業
学校教育教員養成課程 教育科学専攻教育学コース 2008年卒業
学校法人雲雀丘学園 雲雀丘小学校 教諭
樋口 綾香さん
学校が苦手だったからこそ先生に
樋口綾香さんは、小学校の教員として教壇に立ちながら、SNSや著書を通じて主に国語教育の板書や授業について発信しています。「現場に出るようになって、先生ってすごく楽しいなと思いました。子どもと過ごす毎日が幸せ。天職だと思いました」と笑顔で話す樋口さんですが、子ども時代は学校が苦手だったと振り返ります。「田舎で学校まで遠かったり、周りの人間関係の良くないところが目に入ったりして、私にとってはすごくしんどい場所でした。先生になりたいと思ったのは、私みたいな気持ちの子どもがいるということを理解して寄り添えたら、子どもたちが少しでも学校が楽しくなるのではと思ったからです」
現在にも続く仲間に巡り合えた学生時代
大阪教育大学を志望した理由は「より都会に近い場所で学びたい」という気持ちからでした。「大学時代は、サークルやアルバイトなどの課外活動に明け暮れる“落ちこぼれ学生”でした」と笑いますが、そこで培った幅広い友人関係が現在の活動の基盤となっています。また、住田勝教授の「板書計画を立てて授業案を作成する授業」が、非常に面白かったと懐かしみます。
板書は子どもへのフィードバック
卒業後、教師になった当初は「学級経営や板書の書き方、学級目標の決め方さえも知らなかったため、隣のクラスの先生の真似ばかりしていました」と話します。その後、附属池田小学校に赴任し、先輩教師から「板書は子どもの思考を整理する最大のツールである」ことを学びました。「私の授業では、黒板を写すことはほぼありません。私が、子どもたちの発言を黒板に書き留めます。面白い意見や深まっている意見は、黄色やオレンジ色のチョークにすることで、子ども自身が学びの深まりを実感できます。板書自体が子どもへの最大のフィードバックになっています」
子どもの「自発的な学び」を引き出す工夫
仕事のやりがいについて「子どもが授業を面白いと言ってくれたり、自発的に学びを深めたりする姿を見た瞬間が嬉しいです」と語る樋口さん。先日の社会科の授業でも、休み時間に子どもたちが「続きを話し合ってもいいですか?」と集まってきたと言い、自身の工夫が子どもたちの自発的な行動につながることに大きな喜びを感じています。また、授業参観後に保護者から届く「子どもが楽しそうに発表していて感動した」といった温かいメッセージも、日々の仕事の大きな支えになっています。
クラスを超えて全国へ
日々、学んだことや子どもの面白かった発言を記録するために始めたInstagram は、今や多くの教員が注目しています。「発信を続けることで、都道府県を超えて多くの先生方とつながることができました。最近では、私の投稿を見た若い教師が、自校の研修の講師として呼んでくださることも増えました」。「学びたい」という熱意を持った教員たちと交流することで、樋口さん自身の視野が広がったと話します。「自分のクラスという小さな単位でやっていたことが学校全体を動かしたり、自治体単位の取り組みにつながったりと、大きな渦になって広がっていることを実感しています。発信を通じて、自分の実践が学びたいと思っている人たちに届いていれば一番嬉しいなと思います」
受験生・在学生へのメッセージ
大学でつながった仲間とは今でもセミナーなどで一緒に活動することがあるという樋口さん。「学生時代につながった仲間は卒業してからも自分の財産になっていくので、大事にしてほしいです。あとは、好きなことを見つけられたら良いなと思います。私は教員になって5、6 年経ってからようやく国語教育に夢中になれました。早く見つかればその分、充実した学生生活や教員生活が送れると思うので、いろいろなことに挑戦し、本を読み、自分の“好き”を見つけてください」とエールを送ります。
(2026年5月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。
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