将来の惑星地震探査に向けた2つの観測試験を8月31日(月)から9月4日(金)に、鳥取砂丘の月面実証フィールド「ルナテラス」で、環境安全科学部門の西川泰弘特任講師と本学学生が岡山大学、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、高知工科大学、東京大学などと合同で実施しました。
今回行ったのは、NASA(米航空宇宙局)の土星衛星タイタン探査ミッション「Dragonfly」に搭載される地震計の性能試験と、超小型火星着陸探査を想定した「ペネトレータ*1」と「インフラサウンド*2センサー」の試験です。「Dragonfly」の着陸予定地域には砂丘が広がっていることから、砂地での試験が可能な鳥取砂丘のルナテラスが試験場所として選ばれました。
「Dragonfly」に関する試験では、実際の探査ミッションに近い配置や設置状態で地震計による観測を行い、取得したデータから地下構造をどの程度把握できるかを調べました。地震による振動が地下を伝わる様子を観測することで、直接見ることのできない地下の構造を推定することができます。
もう一つの試験では、「ペネトレータ」の性能を調べました。大型ドローンを用いて、約10キログラムの「ペネトレータ」を高度約150メートルから投下し、地面への貫入状態や、貫入後にどの程度の精度で観測できるかを確認しました。
これらの試験では、約30台の地震計と20台の「インフラサウンドセンサー」を配置し、大規模な観測を行いました。
試験には本学の学生9人も参加し、地震計やインフラサウンドセンサーの設置、観測データの解析や記録などを担当しました。また、ハンマーで金属板を打撃して人工的な振動を発生させ、地震計による記録を取得する作業にも取り組みました。
今回取得したデータは、「Dragonfly」によるタイタンの地下構造探査や、将来の火星における地震観測技術の検討に向けて解析を進めます。
西川特任講師は「惑星探査では、限られた観測機器から最大限の情報を得る必要があります。今回、鳥取砂丘という実際の探査環境に近い場所でデータを取得できたことは、将来のタイタンや火星での地震観測を考える上で重要です。参加した学生たちは現地での観測機器の設置、ペネトレータ試験の運用だけでなく、大学での機材準備や観測計画の確認にも取り組みました。事前準備から現地観測まで継続して研究に関わり、大規模な試験を支えてくれました」と話しました。
試験に参加した学生の坂井美月さん(教育協働学科理数情報専攻自然科学コース3回生)は「鳥取砂丘での観測試験は、教科書や大学での実験だけでは得られない貴重な経験となりました。Dragonflyの地震計試験やペネトレータの投下試験など、実際の惑星探査を想定した観測に携わる中で、普段とは異なる環境でデータを取得する難しさや面白さを実感しました。また、他大学や研究機関の方々と協力して作業することで、周囲と連携しながら観測を進めることの大切さも学びました。今回の観測で得られたデータが、将来の火星やタイタンの探査に役立つことを嬉しく思います」と話しました。
*1ペネトレータ…上空から投下して地面に突き刺すことで観測機器を設置する装置
*2インフラサウンド…人間の耳に聞こえない低い周波数の音。超低周波音とも呼ばれる。

試験参加メンバー

観測装置である地震計とインフラサウンドセンサーを設置する学生

地震計・インフラサウンドセンサーのリアルタイム監視システム

大型ドローンとペネトレータのセッティングの様子

大型ドローン(画面中央上空)を用いてのペネトレータ投下試験の様子

投下され、地面に貫入したペネトレータの実験記録を取得する学生
(理数情報系)