庭山和貴准教授が日本教育心理学会で城戸奨励賞

2021.12.21

庭山和貴准教授が日本教育心理学会で城戸奨励賞

 高度教職開発系(連合教職大学院)の庭山和貴准教授が、「日本教育心理学会 2020年度 城戸奨励賞」を受賞しました。同学会は、教育心理学に関する研究成果の発表を促進し、その発展に寄与することを目的として、1959年に創立された歴史ある学術団体です。城戸奨励賞は、同学会の機関誌「教育心理学研究」に発表された論文のうち、35歳未満の若手研究者が執筆した論文で特に優秀であると評価された論文に対して授与されます。
 受賞対象となった研究は「中学校における教師の言語賞賛の増加が生徒指導上の問題発生率に及ぼす効果―学年規模のポジティブ行動支援による問題行動予防―(*)」で、この研究の成果は、同学会において2016年度優秀論文賞を受賞した研究をさらに発展させたものです。
 庭山准教授は、研究成果について「研究に協力頂いた中学校では、既に学校全体で『学校規模ポジティブ行動支援(School-Wide Positive Behavior Support:SWPBS)』を実践しています。そこで、全校規模で生徒の問題行動が10分の1程度まで減少しているだけでなく、生徒と教職員の方々の『笑顔』が増え、生き生きとした姿を取り戻されたことが最も嬉しく思う点です」と喜び、今後の展望については「ポジティブ行動支援の成果を耳にした学校からの、実施を希望する問い合わせも増えました。しかし、学校全体でSWPBSを実践していくには、その導入プロセスにおいて専門家からのサポートが必要であり、私一人ではそのサポートが十分にできていないのが現状です。日本全国には小・中学校だけで約3万校ありますが、米国でポジティブ行動支援を実践する学校数が現在これとほぼ同数です。今後、このような米国をはじめとした各国の体制を参考にしながら、日本においてもポジティブ行動支援を学校現場が実践していく際のサポート体制を、教育委員会等と連携してつくっていければと考えています」と語りました。

*論文の概要
 生徒の激しい問題行動(いわゆる「荒れ」)が大きな課題となっていた公立中学校において、教員と連携して「ポジティブ行動支援」を実践し、これが問題行動の減少に繋がるかを検証した論文です。対象校の中で、最も問題行動の多かった中学2年生を対象としました。
 ポジティブ行動支援は、児童生徒の問題行動を予防する効果が国内外で実証されたアプローチであり、生徒の適切な行動を積極的に伸ばしていくことで、相対的に問題行動を予防・減少させる方略をとります。このポジティブ行動支援の一環として、この研究では生徒の授業中の適切な行動(課題に取り組む、発言・発表する等)を教員が積極的に言語賞賛する(褒める・認める)回数を増やす取組を学年規模で行いました。
 その結果、生徒が授業に参加する時間が増え、これによって問題行動は学年規模で著しく減少しました。また、ポジティブ行動支援を行わなかった他学年では、このような問題行動の減少は見られませんでした。

表彰状を手にする庭山准教授

* 庭山准教授の詳細な情報や論文名等が掲載されている教員総覧はこちら

2021年12月21日掲載
(高度教職開発系)